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教育委員会から、「教育機会確保法」を下位の法律と言われたケースについて

2020年12月16日

教育委員会から、「教育機会確保法」を下位の法律と言われたケースについて

 

(Aさんからのご質問)

 

 B市教育委員会で本日、2人の担当者さんと面談しました。我が家の教育方針と実践についてチアのホームスクール・スターターキットを資料に説明させて頂きました。その後で、B市の教育委員会は、C県の教育委員会に確認した旨を伝えられました。

 

 C県の教育委員会からは「ホームスクールを認める」と返信があったとのことで、その場で申請書を書いて提出するよう言われました。添付写真はその時B市側が用意したひな形です。(チア注:先方が準備した文書案は、本来のAさんの趣旨と異なっていたので一部修正してサインして提出したとのこと)

 

 同日午後、再度、電話で了解を得てC市教育委員会に行きました。許認可制の意味ともなる「申請」という言葉にも引っかかっていたので、「午前中にサインした申請書についてお話ししたい。申請ではなく、報告等の言葉にしたい」と伝えました。

 

 B市側からは、「C県の教育委員会に認めてもらったので許可制です」と伝えられました。「この『教育機会確保法』よりもさらに上の法律で『教育基本法』と『学校教育法』があり、その方が上の位の法律になります。それらの法律では認可制です」と。

 

 最近、幼児虐待により死亡するケース等があり、親御さんの求めるホームスクールをする際は、県から許可を得てからが必要になると。特に私の家族が米国との二重国籍のため、複雑だと。今回のこのケースはホームスクールを実現させてあげられるように親御さんに寄り添った形です、とのことです。

 

 私ごとで大変恐縮ですが、このケースで見えてくる市町村の認識の違いを感じました。

 

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(チア・にっぽん代表 稲葉からの返信)

 

 既にAさんはB市教育委員会にホームスクーリング実施を連絡済で、なすべきことは完了されているので、心配することはなく、特にこれ以上B市教育委員会側に対応する必要はないと思います。

 

 B市教育委員会の法解釈の説明や発言は、いろいろと誤った法の解釈があり、不当な圧力をかけている側面もあると思います。でも、今回、何か制限されたわけでもなく、Aさんのホームスクーリングには何も支障ないと思いますので、今はスルーしておいてよいのではと思います。

 

 ご参考までに、さっと思ったことを書きますと以下のようになります。

 

■「教育機会確保法」よりもさらに上の法律で「学校教育法」と「学校基本法」がある?

 

 「教育基本法」「学校教育法」と「教育機会確保法」との間に上下関係はありません。「教育機会確保法」は、「教育基本法」や「学校教育法」に具体的に書き込まれていない教育の大事な側面を補完する存在です。

 

 法律に上位も下位もなく、本来は、法律同士が矛盾しないように制定されています。あえて言うなら、最上位の法律は憲法です。憲法では、基本的人権、学問の自由、親の権利、個人の尊厳ほか、自由権が認められています。国際法上も認められているのがホームスクーリングです。また、そうした憲法も踏まえ、「多様な学習活動の重要性に鑑みる」との文言が明記されています。

 

 文科省の考えで、「不登校児童生徒等」(積極的にホームスクーリングを選択した児童生徒を含む)の保護者に対して、「就学義務を免除できる」とあり、その面から、B市のような発言が出てきたのかもしれないですね。でも、実質、「届出制」です。「多様な学習活動の重要性に鑑みる」必要があり、「教育機会確保法」施行と同時期に出された文科省省令においても「社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない状況」の場合、子どもの教育方法の選択を尊重する責務が書き込まれています。それで今回のAさんのケースでも、何も制限されることはありませんでした。

 

 まとめますと、今回、B市教育委員会の法律の上下関係をめぐる発言は、誤りです。とはいえ、「多様な学習活動の重要性に鑑みる」との法令にそって、届け出られたAさんの事例は、「社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない状況」として尊重して受け止められたということかと思います。

 

■重国籍は複雑?

 

 複雑ではありません。成人年齢になるまでの日米間の2重国籍は法律に基づいた正当な立場です。

 

■今回のケースは親御さんに寄り添った形

 

 この点は、上記の通り、寄り添った姿勢を感じます。とても良かったです。

 

 ただ、これはAさん家族だけを特別扱いしてくれたということではなく、憲法、教育機会確保法等に定められた法律に基づいて、全国の教育委員会等が等しく、しなければならない対応をしたということにすぎません。今回、特別扱いした、ということでないとは思います。

  

 でも上述の通り、とりあえず、A市への連絡も終わり、先方も受け止めたので、そのステージは無事に完了ということで良かったと思います。よく頑張られましたね。

 

 教育委員会側から、何か制限を加えられた等の行為はありませんので、大丈夫です。特に、こちらからこれ以上のアクションの必要はないと思います。あとは神様にゆだね、主の恵みと助けの中で、お子さんたちのための最善の教育を授けることに心を集中させて、尽くされてはと思います。

 

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(Aさんより)

 

 ハレルヤ!折り返しのメールありがとうございます。つくづく納得し、また、感心しました。色々とご説明いただきありがとうございます。勉強になります。ホームスクールも進み、子供達と楽しく学習してます。神様に栄光を帰します!色々ごとアドバイスをいただき本当に感謝しております。ありがとうございました。子供達も次々と良い本を読んで心が育っていると感じます。

 

 詩篇に 「あなたのみことばは、私の足のともしび、私の道の光です。(119:105)」とあるように、神様に一歩一歩行く道を照らしてもらい歩みを進めていきます。遠慮なくまた連絡させていただきます。そして、なるたけ近いうちにコンベンションなどで直にお目にかかれる時を子供と楽しみにしています。

 

 

【法律の上下関係について、南木武輝弁護士からのアドバイス】

 

■「教育機会確保法」と「教育基本法」等に上下関係はなし

 

 「教育基本法」「学校教育法」と「教育機会確保法」との間に法的な上下関係はありません。「教育機会確保法」は、「教育基本法」「学校教育法」に明確に規定していない学校教育外での教育について定めた法律で、「教育基本法」「学校教育法」に不足している点を補完するものととらえるべきでしょう。なお、文科省の説明を見ると、文科省は、「不登校児童生徒等」(積極的にホームスクーリングを選択した児童生徒を含みます)の保護者に対して、市町村の教育委員会が、学校教育法18条による保護者の就学義務を猶予又は免除することができるというとらえ方をしているものと読めます。そこからB市教育委員会のような取り扱いが出てくるものと思われます。これに対しては、教育委員会が何を要求するかによって個別的に対応することになると思いますが、実質的にみて届出の範囲にとどまるものであれば、柔軟に対応していくべきかなと思います。